龍進斉こと故・堤朋一氏の二寸鉋で同じ二寸でもワイドサイズの80㎜あります。
厚手の鋼付けの裏金(共裏)がセットです。
完全未使用品です。
とはいえ少し茶色っぽい部分もあるのですが、ニスのような物がコーティングされてますので、通常は未使用でまともに保管している状態ではあまり錆の進行は経験上無いかなと。
薬品的な物で仕上げ処理しているので、その処理の段階で多少の茶色くなりがちで、その上からコーティングしているので恐らくは当時納品時でも部分的に薄く変色しがちではないかと思います。
当時、祖父が堤鉋製作所と直接やりとりをして別打ちで注文していた鉋で、銘も鍛冶名を冠した『龍進斉』。
昭和50年代の物になると思います。
その年代だと引退前に堤朋一さんの代表的な鉋の『男盛』の銘の鉋ばかり造っていたのではないでしょうか。
その為に段取り的都合で『男盛り』風の処理しか対応出来なかったのか銘以外の外観は男盛りそのものです。
銘が『龍進斉』という鉋は元々は更に過去に遡り、刻印で美しく丁寧な磨き仕上げの鉋(同時出品中)があり、それがかなり優秀だったのか、この鉋が『龍進斉』銘なのはそれと同じ内容の鉋をリクエストしたという事だと思われます。
その刻印の鉋も今回出品しており、同じくラスト一枚です。
二種類とも揃えるというのも共に同サイズですし、「通」な方なら二種類並べて昔を思い描くのも悪くないですよね。
」
堤朋一氏にいろいろなサイズを注文し、何年もうちでは何度もおろしてはメインで使っていたようですが、これが未使用ラストです。
ラストというだけあって、造形的にも一番整った物を手元に残しておりました。
以前亡くなった父が切り銘の『男盛』の話題がが出た時、「男盛りも、まぁいい鉋やけどな・・・」というような事を言っていました。
ニュアンス的にその後に続く言葉は「龍進斉」と「男盛り」では物が違う」と言いたかったのでしょう。
いつも削り仕事をさせられていたうちの職人は、ほぼ『男盛り』ばかりを買いつないでいましたが、ある日一枚だけうちの父から『龍進斉』をお裾分けしてもらったそうで、「よく切れる。全然違う。吸い付くように切れる。」と後年話していました。
今まで自分で使った分も他の職人や以前に落札された方も含め、サイズに拘わらずハズレ無しで非常に評価が高い鉋です。