真空管ラジオ ナショナル RE-860(ワイドFMカバレッジ 76~95MHz) 【整備・調整済】
[商品概要]
昭和39年(1964)発売 FM(VHF) AM(MW/SW) 2モード 3バンド mT管トランスレスシングルスーパーです。
寸法と重量:幅480高265奥160mm(ツマミ等、突起物を含まない) 重さ:約4kg スピーカー:16cm 1個
真空管構成:17AB9/12BE6/12BA6×2/12AV6/30A5/12ZE8(整備後 6S5Gへ換装)
日本ラジオ博物館の資料によると、「日本の民生用ラジオは、昭和39年(1964)を境に終焉を迎えたと思われる」とされています。
(新製品が発売されなくなったと言う事だと思います)
キットや通信型受信機を除けば、昭和42年(1967)頃を最後にカタログから真空管ラジオが消えたようです。
RE-860は1967年のカタログに残っている数少ない真空管ラジオの1台です。
RE-860は国産のFM付き真空管ラジオの中で、FMの受信感度がもっとも良い機種だと思います。
それは偏(ひとえ)に、FMフロントエンドに17AB9を使用している真空管ラジオが他に見当たらないからです。
ただし、現在に於いては真空管の劣化や調整ズレ等で、この限りでは無いでしょう。
その他の特徴としては、出力トランスに3次巻線を設けて、安定したNFBを掛けている事、
低音域をブーストする周波数選択型NFBを採用している事でしょうか。
スピーカーのマグネットはアルニコ(NKS5)です。
これ位の音質ならばHiFi型と言っても恥ずかしくないだろうと思います。
本機は強電界地域であれば、FMは電灯線アンテナで、AMは内蔵バーアンテナでと、
外部アンテナ無しで使用出来ますが、安定した受信には、やはり外部アンテナを使用した方が良いと思います。
(短波は外部アンテナが必要です)
特にFMは「弱肉強食」と言われる電波形式で、ノイズに対して一定以上の信号強度差があれば、
ノイズを完全に押さえ込める性質があるので、AM以上に良いアンテナを使用する事が効果的です。
出来るだけ長く使えること、実用的であることを念頭に整備しました。
正しい整備、調整を行ったかどうかは、各種測定をもって可能な限り客観的に検証しています。(写真④⑤~⑯⑲)
写真の後、整備内容等を記します。[基本説明]と[補足説明]という構成です。
[補足説明]は[基本説明]で記述した事の技術的データや説明、根拠を提示しています。
まず、[基本説明]を読んでいただき、ご自分に必要な項目だけ[補足説明]を読んでいただければ結構です。
気になる点があれば、遠慮なくご質問下さい。
---------------------------------------------[基本説明]---------------------------------------------
【外観上の留意点】
60年近く前の製品ですので、無傷というわけではないのですが、これと言ったキズや割れ、剥がれ等はありません。
日焼けとか軽い圧迫痕とか、中古感はあります。
ツマミには緑青を取り除いた跡が少し残っています。
【電気関係の留意点】
FM受信時、信号が弱い場合、AFCの効きが悪くなります。
これはAFCの動作に必要な制御信号が充分なレベルに達しないからです。
【整備内容】
[キャビネット]
水拭きのみ。
両側面と天板の間の凹部に少し塗装剥がれがあった為レタッチ。
[フロントパネル、ツマミ]
洗浄後、コンパウンド研磨しています。
(内部)
FMフロントエンドのコンデンサー(負の温度係数のもの 2ヶ)、AMのパッテイングコンデンサー(2ヶ)は、
容量/D/Q/tanδ/ESRを測定し再利用、他のコンデンサー(電解コンデンサー含む)は交換。
ヒーターチョークは再利用、抵抗、配線は全て交換しています。
[その他の交換部品]
音量調整ボリューム/電源スイッチ付音質調整ボリューム/ダイアル糸/
AC整流用ダイオート/バリキャップ(AFC)/ACプラグ付コード(PSE規格)/真空管ソケット(2ヶ)
真空管:17AB9/12ZE8を6S5Gに換装
バリキャップ(AFC)交換に伴い、DCオフセット値を変更しています。
音量調整ボリューム、音質調整ボリュームの交換に伴う軸のパイプ接続には
2液エポキシと真鍮のノックピンを併用していますので、
接着がとれて空回りする様なことはありません。
[その他の整備内容]
セレクタースイッチは分解、洗浄(写真①)
バリコン洗浄/バリコン、セレクタースイッチの軸受け部、ダイアル機構のグリスアップ(写真③)/
真空管ソケット、ピンの洗浄(写真②③)、ピン・ストレートナーによるピン曲がり矯正/スピーカーネット追加
※交換した17AB9は中古品、その他の交換部品は新品を使用しています。
(新たに付け加えた機能)
[ワイドFM対応](写真⑱)
76MHz~95MHzまでカバーしています。
ダイアルバックパネル最下段に[W FM]と表記した新しいFMダイアルスケールを貼り付けています。
取って付けた様な感じで、見易くもないのですが、目安にはなると思います。ご勘弁下さい。
オリジナルのFMダイアルスケールは実際の周波数と一致しません。
FMフロントエンドのRF同調回路も調整していますので、ワイドFM帯で極端に感度が落ちる事はありません。
[LEDによるダイヤル面の照明]
高輝度広角LED 6個でダイアル面、操作部を照明しています。
消費電力は約0.25Wでパイロットランプ1個分(0.95W)の1/3以下です。
[マジックアイ]
12ZE8を6S5Gへ換装
[50/75Ω同軸ケーブル用Fコネクタ増設]
このFコネクタには1:4のフロートバランを接続しています。
同軸ケーブルで接続されるFMアンテナを効率よく動作させることが出来ます。
[マジックアイのON/OFFとAFCのON/OFFを連動](写真⑰)
本機はAFCのON/OFFスイッチで、マジックアイのON/OFFとAFCのON/OFFを連動させています。
AFC-OFF時にマジックアイが点灯、AFCをONにするとマジックアイは消灯します。
FMでチューニング(選局)操作をする場合、
マジックアイを使用して同調を取り、同調が取れたらマジックアイを消灯させるという流れで、
「AFC-OFFで同調を取り、その後AFCをONにする」という、正しいAFCの使い方が自然に出来るようにしています。
AMモード時には、このスイッチは単にマジックアイのON/OFFスイッチとして動作します。
[外部入力端子]
3.5mmステレオミニジャックに換装(出力はモノラル)
スマートフォンやミュージックプレーヤー等、携帯端末の接続を想定しています。
Bluetoothレシーバーも問題なく使用できます。
音量調整は、接続機器側、ラジオ側両方で行えます。うまくバランスを取って下さい。
本機は入力電圧約100mVで500mW出力になります。
おそらく、ほとんどのスマートフォンで無歪最大出力(500mW)程度は出せると思います。
グランドループアイソレーターでAC100Vラインとは完全に分離していますので、感電の恐れはありません。
背面MPX-OUTの横にある[IN]表示のRCAジャックも外部入力端子ですが、
セレクタースイッチ、グランドループアイソレーターは経由せず、
音量調整ボリュームのホット側に直接接続されています。
(本機の外部入力は以下の問題に対処しています)
・接続機器のケースが金属の場合、触るとビリビリする(感電)
[グランドループアイソレーターで対処]
・接続機器のケースが金属の場合、触るとハムが出る(誘導ハム)
[グランドループアイソレーターで対処]
・音楽等プログラムを再生していない時、ノイズが出る(接続機器のクロックノイズ等)
[グランドループアイソレーター、EMI除去フィルターで対処]
・外部入力端子に何も接続せずに切替えると、大きなハムが出る、
又はハウリングを起す(ラジオ-外部入力の切替方式の問題)
[ターミネーター(並列終端)で対処]
・音楽等のプログラムを再生出来ない(接続機器の保護回路が動作)
[パッシブミクサーで対処]
※Bluetooth機器(レシーバーも含む)は、技術基準適合証明、または工事設計認証を取得している製品の使用をお勧めします。
(電波法第38条の6第1項、38条の24第1項)

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(その他)
[イヤホーンジャック]
本機にイヤホーンジャックはありません。
[録音端子]
オリジナルのままです。
3.5mmモノラルミニジャック(モノラル出力)
正常に動作します。
[MPX-OUT]
3.5mmモノラルミニジャック マルチプレックス(ステレオ)を接続する為の端子です。
有効に活用される方がどれだけいらっしゃるか疑問ですが、オリジナルどうりに配線しています。
少し工夫すればセンターメーターを接続できます。
(調整等)(写真⑲)
目視による配線チェック/各部電圧チェック(回路図に記載)/IFT調整/ディスクリミネータ調整/
トラッキング調整/単一調整(1400kHz/12MHz/85MHzで感度最大)
周波数読み取り精度は、AM/FM共十分です。
ディスクリミネータはFM受信機の音質を決める重要な要素です。
ディスクリミネータが正しく調整されている場合、
「信号強度がもっとも大きいところで、周波数特性、歪率が最良」になります。
[受信感度](写真⑩⑬)
MW(中波)、SW(短波)は十分な受信感度を有しています。
FMに関しましては、所有している測定器の精度不足で、信頼に足る絶対値が得られませんでしたので、相対値のみを提示しています。
具体的には、室内設置のT型アンテナ(付属品)ではFM 4局が受信できました。
屋外に設置したFMアンテナを使用した場合、10局以上のFM局を受信できました。
[ハムに関して](写真⑥)
周りが静寂の時、ボリューム最小で、起動直後はスピーカーから20cm位の所までハムが聞えますが、
ヒーターが十分暖まり、安定してくると10cm位まで近づかないと識別出来なくなります。
放送受信時には放送波、セットノイズに埋もれて識別できません。
[FMの周波数安定度ついて](写真⑭)
電源ONから15~20分程で安定(熱平衡に達する)してきます。
AFC(自動周波数制御)を使うと、起動後数分で安定した受信ができます。
[音質について](写真⑪⑫⑮)
低音域が豊かなので、スケール感や奥行きを感じます。
少しボリュームを上げて聴いたほうが良いです。
お好きな音楽に浸って下さい(^^;)
(試聴)
[中波(MW)]:NHK第一、第二、地元ローカル局、近県の民放局がそれ相応の信号強度で受信できました。(付属の室内アンテナ使用)
[短波(SW)]:ラジオNIKKEI、NHK WORLD JAPAN、BPM(中国標準時報局)、CRI(中国国際放送)、
KBSワールドラジオ(韓国)、Rti(台湾国際放送)、VOV(ベトナムの声)、
KTWR(フレンドシップラジオ グアム)等受信できました。(付属の室内アンテナ使用)
[FM(VHF)]
・電灯線アンテナ(内蔵)
FMK77.4MHz(熊本 民放)/RKK91.4MHz(熊本 民放 ワイドFM) 2局受信
コンセントの場所、ACコードの引き回しで大きく変化します。
・T型アンテナ(室内設置)(付属品)
FMK77.4MHz(熊本 民放)/NHK-FM熊本85.4MHz/RKK91.4MHz(熊本 民放 ワイドFM)/
FMたんと79.3MHz(地域コミュニティ局) 4局受信
指向性があるので、アンテナの向き次第ですが、電灯線アンテナと較べると信号強度が大幅に上がります。
最低でもこの程度のアンテナを使ったほうが良いと思います。
・屋外FDアンテナ
LoveFM76.1MHz(福岡 民放)/FMK77.4MHz(熊本 民放)/FM佐賀77.9MHz(佐賀 民放)/
FMたんと79.3MHz(福岡 地域コミュニティ局)/FM福岡82.1MHz(福岡 民放 久留米局)/
JoyFM83.2MHz(宮崎 民放)/NHK85.4MHz(熊本)/CrossFM86.5MHz(福岡 民放 久留米局)/
FM島原88.4MHz(長崎 地域コミュニティ局)/FM長崎89.3MHz(長崎 民放)/ KBC90.2MHz(福岡 民放 ワイドFM)/
MRT90.4MHz(宮崎 民放 ワイドFM)/RKB91.0MHz(福岡 民放 ワイドFM)/RKK91.4MHz(熊本 民放 ワイドFM)/
NBC93.5MHz(長崎 民放 ワイドFM 佐賀局)/RKK94.2MHz(熊本 民放 ワイドFM 水俣局)
以上16局受信
(サービスエリアに入っているのはFMK(熊本 民放)/NHK熊本/ RKK(熊本 民放 ワイドFM)の3局のみです)
※室内のパソコン、ネットワーク機器等ノイズ源を全てOFFにして試聴しました。
宮崎のFM局が受信できたのは初めてで、少し驚きました。常時受信できるので異常伝播では無いようです。
(ランニングテスト)
10日ほど使用していますが、不具合はありませんでした。大変安定しています。
(付属品)(写真⑳)
・AM用室内アンテナ:約2m長
・FM用室内アンテナ:T型アンテナ
・外部機器接続ケーブル(3.5mm⇔3.5mmステレオミニプラグ 90cm長で金メッキ、スリムプラグです)
・オリジナルの回路図、整備後の回路図(新規作成CAD図面 A4版)、糸かけ図
・簡単な取扱い説明書
※外部接続機器、Bluetoothレシーバー、センターメーターは付属品には含まれていません。
※出来るだけ良いFMアンテナを使用してもらいたいと思い、市販品を探したのですが、
まともな室内FMアンテナが中々見つかりません。
付属したT型アンテナは、水平部の長さ(エレメント)はまともですが、給電線のインピーダンスはいいかげんです。
「受信用だから いいかぁ~」位のものです。
出来るだけ長く使えるよう、私にやれることはやってありますが、製造後約60年を経た部品が残っています。永年の保障はできかねます。
電気的な不具合が発生した場合、概ね一ヶ月程度は初期不良として対応いたしますが、その後はご容赦下さい。
今後の修理、メンテナンスについては別途お受けしております。詳しくは取説をご覧下さい。
外観に関しましては、これ以上の術を持ち合わせていませんので、ご容赦願います。
※代理入札、転売されたものであった場合は、初期不良対応も含め、一切のサポートは出来ません。
長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(発送)
ヤマト運輸:送料元払い 120サイズ
通常料金より10%の割引になります。
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配達時間指定が必要な方は、お支払い手続きまでに[取引メッセージ]でご連絡下さい。
(こちらからは特にご案内は致しませんので、お忘れなく)
---------------------------------------------[補足説明]---------------------------------------------
【整備内容】
[抵抗]
カーボン/酸化金属皮膜
[コンデンサー]
高周波回路:積層セラミック、ディスクセラミック、チタコン、スチロール/低周波回路:積層セラミック、フィルムコン(PET/PP) /
平滑回路用電解コンデンサー:カテゴリー温度105℃/
AC用安全規格コンデンサー
・ACライン間:X2クラス
・ACライン⇔シャーシ間:X1,Y2クラス
・整流ノイズ防止用:X1,Y1クラス
[配線]
耐熱電線使用(UL3265) JIS 5色法に準ずる線色/リボン電線
[その他の整備内容]
セレクタースイッチ:接点抵抗は30mΩ以下まで回復しています。(洗浄には接点復活剤は使用していません。)(写真①④⑤)
バリコン洗浄:Qは2000以上まで回復しています。(at 100kHz)(写真④⑤)
[真空管]
gm直読型真空管試験機でチェックしています。(写真④⑤)
検査項目:電極間絶縁/gm値(相互コンダクタンス)/Diode/Rect/ガステスト
17AB9は試験器がmT10ピンに対応しておらず、チャートにもデータが無い為、実機での確認のみです。
交換に当たっては手持ちの中から一番状態の良い球(メーカー:松下)に差し替えています。
【17AB9】
真空管FMラジオのフロントエンドに使われている真空管は、ほとんどが17EW8/12DT8/6AQ8等の双3極管です。
対して、本機に使われている17AB9は双4極管です。
3極管は内部容量が大きい為、グリッドとプレート間で結合が起き、発振する場合があるので中和回路が必要です。
この中和回路の調整が中々難しいのです。
17AB9はスクリーングリッドを加えて4極管にする事で、内部容量は17EW8等に較べると1/25位になっており、
中和回路無しで安定動作が可能になっています。
17AB9を使ったFMラジオは高感度というのが通説ですが、どの位感度が良いのでしょうか。
下記、第3図を見ますと、ざっくり言って17EW8/6AQ8等より3倍位感度が良くなる様です。
この高感度になる理由ですが、それは17AB9がフレームグリッド管だからです。(第8図)
構造等の詳細は省略しますが、フレームグリッド管は、
高い増幅率(μ)、高い相互コンダクタンス(gm)、ローノイズ(真空管では相互コンダクタンスが高いと、雑音指数は低くなる)
と良い事ずくめですね(^^;) 欠点は構造が複雑で、製造コストが高いという事でしょう。
余談ですが、この様な特徴から真空管オーディオアンプの電圧増幅段に使う真空管としてフレームグリッド管は人気があります。

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[RE-860のマジックアイを12ZE8から6E5/6Z-E1/6S5Gへ換装する]
本機はトランスレス機ですから、まず、ヒーター回路の問題を解決しなければなりません。
オリジナルの真空管構成の場合、ヒーター電圧の合計は110Vです。
ここから12ZE8を抜き取りますと、ヒーター電圧の合計は97Vになります。
わずかな不足分の3Vを抵抗で補正しますと、この抵抗で0.45W消費します。
起動時の突入電流も考慮して余裕率を5倍ほどみて3Wの抵抗をヒーター回路に挿入します。
結局、一般的なトランスレスラジオに挿入されている突入電流制限用抵抗とほとんど同じ値になりました。
次にターゲット電圧の問題です。
12ZE8はトランスレス用のマジックアイなので、ターゲット電圧は100V程度で充分な輝度が得られますが、
6E5/6Z-E1/6S5Gの場合、ターゲット電圧は180~250V程度必要です。(新品では120V程度でも光ります)
しかし、ターゲット電流は2mA程度ですので、AC100Vを倍電圧整流すれば、DC250Vは容易に得られます。
最後にヒーター電源の問題です。
本機にはダイアル面の照明をする為に単巻トランスが付いています。
このトランスで6.3V 150mAのパイロットランプ 2個を点灯させています。
つまり、このトランスは6.3V 300mAの容量は有ると言う事です。
6E5/6Z-E1/6S5Gのヒーター規格は6.3V 300mAですので、
ダイアル面の照明はLEDとし、別電源とすれば、
この単巻トランスを6E5/6Z-E1/6S5Gのヒーター電源として使用できます。
【本機の外部入力仕様】
・ラジオ/外部入力の切替回路 あり
・外部入力時、ラジオ放送の混入防止回路 あり
・音量はラジオ側でも調整可能
・ステレオ→モノラル変換:パッシブミキサーに依り外部接続機器を保護します。
・感電防止:グランドループアイソレーターに依り、AC100Vラインとは完全に分離、絶縁(トランスレスである為必要)
今回使用したグランドループアイソレーターは昇圧トランスも兼ねており、外部接続機器の出力を約4.5倍に昇圧します。
外部機器と外部入力間の2ヶ所のインピーダンス接続点は、共に「ロー出しハイ受け」の関係になっており、伝送効率はほぼ100%です。
[受信感度](写真⑩⑬)
中波(MW) 17uV(50mW/SN比20dB at1000kHz)[実測値]
短波(SW) 52uV(50mW/SN比20dB at 8MHz)[実測値]
FM(VHF)は相対値のみ表記いたします。
76MHz~95MHzの帯域に於いて感度偏差は2dB以内に収まっています。
フロントエンドRF同調回路のコイルピッチを調整した成果です(^^;)
[ハムに関して]
広帯域測定で1.0mV、JIS-A測定(聴感フィルター有)で0.15mVです。
[音質について](写真⑪⑫⑮⑯)
ラジオ放送受信時の周波数帯域幅(電気的忠実度)
(AM)
音質調整が低音(Low)一杯で、35Hz~1.4kHz(-3dB)
音質調整が高音(High)一杯で、60Hz~2.0kHz(-3dB)
(FM)※ディエンファシス有りの特性
音質調整が低音(Low)一杯で、40Hz~1.4kHz(-3dB)
音質調整が高音(High)一杯で、65Hz~2.0kHz(-3dB)
外部入力時の周波数特性は、
音質調整が低音(Low)一杯で、45Hz~1.5kHz(-3dB)
音質調整が高音(High)一杯で、80Hz~3.5kHz(-3dB)
本機の音の特徴を決定付けているのは周波数選択型NFBです。
負帰還抵抗と直列に接続されたコンデンサーのリアクタンスが、周波数によって変化する事を利用したもので、
低音域でリアクタンスが大きくなる様、容量が決められています。
その結果、低音域での負帰還量が減り、低音域のレベルが持ち上がるという仕組みです。
オーディオアンプではほとんど用いられない方式ですが、
スピーカーとキャビネット(エンクロージャー)に制約があるラジオでは、どうしても低音域が不足する為、有効な方式と思います。
コンデンサーをキャンセル(短絡する)すると、普通のオーバーオールNFBになります。
特性グラフ⑯ではY軸の一目盛が10dBなので、わずかな差に見えますが、3dBの違いは電力換算で2倍の差になります。
本機にはNFB専用巻線付出力トランスが使用されています。
このNFB専用巻線(3次巻線)の意味合いについて少し説明致します。
よく使用されるオーバーオールNFBでは、出力トランスの2次巻線から負帰還をかけます。
しかし2次巻線にはスピーカーが接続されているため、
周波数により、負荷インピーダンス(リアクタンス分)が変化し、高い周波数で特性の暴れが生じることがあります。
これは負帰還量が多い程顕著になり、最後には発振してしまいます。対策として、位相補正をして安定させます。
一方、NFB専用巻線から負帰還をかけますと、負荷インピーダンスの変動が少ない為、
上記の様な問題発生の確率は大幅に減少します。
結論として、
NFB専用巻線(3次巻線)は、安定したNFBをかけるためのものです。
音質とは直接の関係はありません。
(タムラのFシリーズのカタログ等が参考になります)
[本機の電気的諸元](実測値)
受信感度(MW):17uV (50mW/SN比20dB at1000kHz)
受信感度(SW):52uV(50mW/SN比20dB at8MHz)
FM受信周波数:75.7MHz~95.4MHz
残留ノイズ:広帯域測定:1.0mV/JIS-A測定:0.15mV
中間周波帯域幅(AM):11.4kHz(-6dB)
中間周波選択度(AM): -12.5dB(±10kHz)
中間周波帯域幅(FM):±120kHz(-6dB)
最大出力: 約0.9W
無歪最大出力: 約0.6W
歪率:0.9%(50mW時 1kHz THD+N)
NFB負帰環量: 2.5dB
ダンピングファクター: 0.35(at1kHz on/off法)
※受信感度の数値は擬似空中線回路網(JIS:C 6102-1:2019)を接続した時の値です。
※測定器類に精度の保障が出来ないものが含まれている為、測定値の精度は保障できません。
Coffee Break
下記の資料は、5球スーパー用のハイ・インピーダンス型アンテナコイルと
アンテナの関係について説明されたもので、昭和29年(1954)の発行です。
真空管ラジオの受信感度とアンテナの関係を語る場合、
「アナログ受信機に於ける受信感度の定義」を理解しておく必要があると思います。

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下記の資料は、信号源-負荷の関係に於いて、
インピーダンスマッチングが必要か不要かを示したものです。
スマートフォン等のイヤホーン出力(信号源)を真空管ラジオの外部入力(負荷)に
接続した場合は、赤線及び赤線枠で示した関係になります。
接続の等価回路を描ければ、理解できるはずです。

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