古典落語 ちくま文庫 6冊セット 文楽集 / 圓生集(上) / 圓生集(下) / 志ん生集 / 小さん集 / 金馬・小圓朝集 棚い


若干のヤケや使用感があります。



文楽集
その昔、 文楽が 『明烏』を高
座にかけると、売店の甘納豆
がよく売れた。 噺のなかで甘
納豆を食べる迫真の芸に、 つ
いお客がつりこまれて—と
いう話がある。 八代目桂文楽
は演題のすべてが 「十八番」
だった。 どれも、 言葉のはし
ばしまで一字一句ゆるがせに
できぬほど磨きぬかれ、 完成
された一席。 それを、完璧な
落語芸で演じてみせた。 古典
落語が行きついた一つの到達
点というべき、 文楽落語十八
番集の一冊。
 
圓生集 上
子ども義太夫語りの豊竹豆仮
名太夫として、 寄席に初出演
したのが六歳のとき。 ついで
落語家に転じ、三遊亭円童を
名のって初高座をふんだのが
九歳。文字通り“寄席育ち”
の六代目圓生は、 寄席の世界
の雰囲気を色濃く身につけて
いた。 その魅力、精緻をきわ
めた語り口が、 ファンにはい
まなお忘れがたい正札付きの
出囃子とともに鮮やかによみ
がえる、 圓生落語の独演集。
 
圓生集 下
洒脱な滑稽みで聞かせる落と
し噺、しとしと語りこむ人情
噺。 怪談噺、さらに音曲噺か
ら芝居噺まで巧みにてがけた
芸域の広さ、 演題の豊富さで
随一とされた六代目三遊亭圓
生。 どれを十八番というもお
ろかとさえいわれた。 その数
多い名演からきわめつきの高
座を精選して収める。 古典落
語の格調を守りつつ自在に展
開する舌技を、きめこまかく
再現。 たっぷり楽しめます。
 
志ん生集
「お前さん、あの人と、どうし
て一緒になってんの?」
「だって、 寒いんだもん」
八方破れの生きざまがみ
ごと芸の肥やしとなった、と
いわれる五代目古今亭志ん生。
その自由奔放な芸は、 没後15
年を経て、色褪せるどころか、
ますます評価がたかまってい
る。 おなじみ一挺入りの出囃
子とともに鮮やかによみがえ
る志ん生落語、 『お直し』 ほか
絶妙の高座を、 きめこまかく
再現する。 昭和落語の名人シ
リーズ第1弾。
 
小さん集
35歳で大名跡柳家小さんを襲
名、以来つねに第一線で活躍
をつづけ、今や芸・人物とも
に落語界の最高峰に立つ五代
目。 熊さん、八つァん、ご隠
居 おかみさんから狸まで、
円満な風貌で演じる滑稽噺・
長屋噺で理屈ぬきに落語の楽
しさを味わわせてくれる独演
集。
 
金馬・小圓朝集
落語との結縁は三代目金馬を
聞いてから、という落語ファ
ンは今も数多い。 戦前からレ
コードやラジオ放送などで活
躍 豪放な芸風、 明快な語り
口でファンを魅了した。
三代目小圓朝は、祖父が圓朝
の兄弟子、 父が圓朝の弟子と
いうように三代にわたった落
語家。 淡々とした語り口のな
かに、絶妙の間で、 江戸前の
滑稽味を浮きあがらせた。
ともに、骨格のしっかりした
落語芸の見本、 典型をみるよ
うな高座を再現する二人集。