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五輪塔は、下から方形=
地輪(ちりん)、円形=
水輪(すいりん)、三角形(または笠形、屋根形)=
火輪(かりん)、半月形=
風輪(ふうりん)、宝珠形または団形=
空輪(くうりん)によって構成され、古代
インドにおいて宇宙の構成要素・元素と考えられた
五大を象徴する。これらは『
大日経』などの経典に現れる
密教の思想の影響が強い。それぞれの部位に下から「地(ア [a])、水(バ [va])、火(ラ [ra])、風(カ [ha])、空(キャ [kha])」の
梵字による種子(しゅじ)を刻むことが多い。四方に種子を刻む場合は四転、例えば地輪に刻むアなら→アー→アン→アクという具合に刻む方角によって変化する。種子は密教の
真言(密教的な呪文のようなもの)でもあるので下から読む。
宗派によって、
天台宗・
日蓮宗では上から「妙・法・蓮・華・経」の五字が、
浄土宗では上から「南・無・阿弥・陀・仏」の文字が、
禅宗では下から「地・水・火・風・空」の漢字五文字が刻まれる場合もあるが、宗派をとわず種子を彫ることも多い。
日蓮正宗では必ず上から「妙・法・蓮・華・経」の五字を刻む。また、種子や文字のない五輪塔も多く存在する。
木製の板塔婆(板卒塔婆)も五輪塔の形態を持つ。これには表に下から「地(ア [a])、水(バ [va])、火(ラ [ra])、風(カ [ha])、空(キャ [kha])」の梵字による種子を、裏には仏教の智慧をあらわす
金剛界の
大日如来の種子鑁(バン [va])を梵字で書くことが多い。木製には他に角柱の卒塔婆もあり、真言や
念仏がかかれることが多い。