【基本情報|Release Information】
テレビ音楽出版の10年を編年史として綴るアナログの記念碑。非売品として制作されたこの2枚組LPは、1970年代後半の日本音楽産業における放送文化とスタジオ音楽の結節点を記録している。
【構造と文脈|Structure & Context】
『NTVM After 10 Years』は、日本テレビ音楽(NTVM)の設立10周年を記念して制作された関係者向けプロモーション盤であり、その内容は単なるコンピレーションの枠を超えた「音楽編集による周年誌」として機能しています。収録曲は、当時NTV音楽出版が手がけたドラマ主題歌や映画音楽、CMソング、洋楽翻案、さらにはオリジナル作曲まで多岐にわたり、ジャズ、ファンク、ソウル、ポップスが錯綜する豊かな構成です。
演奏と編曲を担うのは、大野雄二(You & The Explosion Band)、ミッキー吉野(Godiego)、羽田健太郎ら、日本のセッション・エリートたち。中でも注目は、大野雄二による「Lady Oscar」「Gandhara」「Domingo Bay」など、既存楽曲の再構築における編曲的創造力。サウンド・イン・スタジオでの録音は音像の鮮度とグルーヴを兼ね備え、コンパイルされた曲順にも物語性が宿っています。
Salena Jones、Splinter、Tommy Snyderといった海外ヴォーカル陣を起用している点も、国際化志向を象徴しており、日本のテレビ音楽産業が持っていた“越境する耳”のあり方を物語っています。
この記念盤は、市販されなかったことで逆に“制度的歴史”の外部に位置し、今日では和モノディガー/ライブラリー音源収集家にとっての重要資料として評価が高まっています。
【状態詳細|Condition Overview】
【支払と配送|Payment & Shipping】