昭和11年1月頃の刊行で、四六判であった原本をA5判に拡大したもので、原本本文は112頁、当時非売品として小部数を知人に配布したもので、それを約80年ぶりに復刻したものです。
内容としては、当時関東軍司令官であった陸軍大将・南次郎の委嘱にて満州、所謂「北支自治政府」を視察した際の中里の北支那辺境紛争と支那との分離工作に対する政治分析報告と、その思想的背景が前半で、後半はそうした大陸進出政策を(ある意味で正当化する)「古事記の原本の出現(=竹内文献)」と、太古日本の世界的発展と文化を傍証する「神代文字」に関する考察、そして中里なりの他国と日本の皇室との比較による日本の優越性が主張されています。
前半について言えば、中里の「神代文化」研究の方だけでなく、頭山満や内田良平、天野辰夫他の当時の民間右翼関係に関心ある方、昭和初期の陸軍(関東軍)の大陸政策に関心ある方にも興味ある内容ではないかと思います。
今回の復刻版では、特別資料として下記のものを収録しています。
・中里が昭和7年から自身の家に保存するために書き始めた『我家之歴史』という毛筆書の自筆稿本中、特に本冊子を書く契機となった満州視察直前(前日夜)に認めた「昭和拾年八月十九日夜記」という重要な手記4頁の影印版
・中里写真6頁
手記については、一部が八幡書店の『神日本』復刻版解説所載の森克明「中里義美と神代史運動」に引用されておりますが、皇道派陸軍大将・荒木貞夫に対する所感や、陸軍大将で後に関東軍司令官、朝鮮総督を歴任する陸軍大将・南次郎との関係などについても触れる一方で、中里の「神霊観」と「日本天皇=世界天皇」観が披瀝された貴重資料です。
限定100冊のみの限定復刻です。