1971年3月に最初のLP500(LP500 prototipo)は、明るい黄色に塗装されショーの時間に間に合わせるために、
チーフテストドライバー兼開発エンジニアの
ボブ・ウォレスが、前夜、サンタガタから
スイスまで約485kmを運転し3月11日の
ジュネーブショーのカロッツェリア・ベルトーネスタンドにミウラSV1号車♯4846、ストラトスHFゼロと並べ出展され、革新的な
デザインは世界中の車雑誌等で取り上げられ、反響を呼んだ。
実物大のスタイリングモックアップ作製を経て作製され、スタイリングは後方視界の悪さが予見されたため、通常のバックミラーの代わりに
Donnelly Mirror製のESVプロジェクト用に開発したペリスコープミラーが、ルーフ前側が膨らんだ室内側に統合された。
インストルメントパネルはガンディーニは当初、デジタル表示を備えたダッシュボードをスケッチしたが、ショーに間に合わず、
シングルスポークのステアリングの背後には、スピードメーターとタコメーターがオフセットして組み込まれた。ただし、
ダッシュボードは、1982年に発表されたシトロエン
・BX前期型のような形状のインパネとシングルスポークステアリングの
非常に未来的なもので、ステアリングホイールの弧内のステアリングコラムの中央に配置された航空機や宇宙船に着想を得た警告灯など、
ガンディーニのスケッチからのアイディアが組み込まれ、警告灯の1つは、現在のクルーズコントロールシステムと同様に機能し、
設定速度を超えると点灯した。
もう1つの革新は、オンボード診断システムの組み込みで、ドライバーの左側のダッシュボードにある
車全体の俯瞰の概略図に、ライト、ブレーキ、液面レベル、温度が継続的に監視され、ステータスが表示された。ストラトスHFゼロから
引き継いだ「チョコレートバー」パターンの座面はシートが置いてあるというより巨大なトランスミッショントンネル、ドアシル、
スチールフレームの床、バルクヘッドに囲まれた人の形の空間スペースに2列のチョコレートバークッションが敷いてあるような構成で、
低い座席位置、量産車より巨大なトランスミッショントンネル、広いドアシル、ドアシル手前に5つ並べられたスイッチ、
極端に起きたヘッドレスト等、レーシングカーや宇宙船のコックピットにいるような感覚に貢献した。
このLP500プロトは、量産LP400と比較して多くの機構的違いや、スタイリングもバランスや細部ラインが微妙に異なる似て非なるものである。
ベルトーネによって提案された当時としては妥当なプランであった単純な角断面スチールフレームシャーシ(
プラットフォームシャシー)
の上にボディが構築され、量産版のパイプスペースフレームシャーシと比べ重く、スペアタイヤが入るフロントトランクリッド後方にはダクトがあり、
ヒンジの向きは量産車LP400とは逆の後ろヒンジである。
リトラクタブルライトを開けている状態の記録はなく装備が間に合わなかった事が想定される。
ホイールは直径14インチの鋳造マグネシウム製でベルトーネによって設計され、ミウラのスピナー仕様のセンターロックは
1960年代後半に禁止する安全規制が導入され、カンパニョーロによって製造された前年に発表されたウラッコや量産LP400と同じ、
ストラトスHFゼロに似た5穴ナットタイプにされた。リムの幅はフロントが7インチ、リアが9インチ。特別に開発されたピレリ
CINTURATO(チントゥラート)CN12タイヤ、ボディワークは、
マルチェロ・ガンディーニのデザインスケッチに厳密に従ったもので、
ドアウィンドウのすぐ後ろにあるルーバー付きベントからエンジンとサイドマウントラジエーターに空気が供給されたが、
ボブウォレスによる長時間の路上テスト中に収集したエンジンの冷却効率が悪くオーバーヒートが頻発し、このベントだけでは
エンジン温度を下げるには不十分であることがわかり、スタンツァーニとアシスタントエンジニアのマッシモ・パレンティは、
機械的な用語で解釈する仕事をし、エアインテーク、
NACAダクト、検討用ドアミラー4個、シングルワイパー等が追加で改造され
無骨な姿になったが、改良デザインは下記2番目のプロトティーポ(シャーシ番号#1120001 LP112プロジェトの1号車)以降に反映された。
LP500プロトティーポに載せられた5.0リッターエンジンは、走行テスト中にブローし、量産LP400で使用されたエンジンと同様の
3.9リッターV12に交換された。当時のプレスリリースではまだ「LP500」と呼称されていたのは、ランボルギーニのエンジニアが
量産バージョンでは5.0リッターエンジンを使用する予定だったためである。シャーシの工法が量産LP400とはまったく異なる
プラットフォームシャシー構造にもかかわらず、1974年3月にロンドンのMIRA研究所でクラッシュテストに使用されヨーロッパでの
型式承認を取得し、廃棄されて現存しない。2018年には日本の愛好家
]のハンドリングにより原寸大の正確なモックアップが再現作製された。