<ミルク色の夜明け、見えてくる真っすぐな道・・・> ベトナム産・非加熱サファイア 0.46ct *非加熱照明、産地証明付きの鑑別付


 さあ、いよいよ、ハノイから宝石の産地イエンザ(ルクエン)への旅立ちの日です。今までに、タイ、ミャンマー、スリランカ、カンボジア、ブラジル、コロンビア、マダガスカルなどの宝石産地に出かけてきましたが、今回は、初めて「ベトナム」の宝石産地に挑戦です。日本から一番近いはずなのに、なかなか足が向かなかったのは、言葉を含めた、その買い付け難易度の高さからです。
 まず、第一に、何が難しいと言っても、言葉の壁があります。「英語」が、まるで通じないんです。日本なら、今時、小学生でも知っているような英単語、例えば、「ブルー」とか、「バスターミナル」とか、そういうのすら、まったく通じません。「大人が、こんだけ雁首揃えて、誰も英語が分からんのかい・・・・・」と、突っ込みを入れたくなるぐらいです(笑)。そのくせ、小中学生の子供が、皆、電動バイクに乗っています。けっこう、ボロボロのバイクなので、たぶん、中国から入ってきた中古品だと思いますが・・・・・。なぜか、大人は、ガソリンのバイクに乗るみたいです。
 次に、第二の難点として、田舎に行く時の公共交通機関の未発達が挙げられます。事務所の所在地すら明らかにしていないような、小さなバス会社がたくさんあって、それらが好き放題にバスを走らせているという感じなのです。その人たちをまとめ上げるようなシステムがないのです。ですので、バスを探すだけでも困難ですし、どこで切符を買って、どこで乗り込むかも、今いち、釈然としないのです。金額は知れていますが、料金も適当な感じがします。つまり、多少、ぼられるという事です。
 さらに、第三の難点として、宝石の市場で、いざ、所有者と交渉しようとすると、値段交渉人がやってきて、間に入ってくるのです。彼らは、びっくりするような高値(もともと、ベトナム人は欲深くて、ちゃっかりしていてスキがない・・・)を吹っかけてくるし、インターネットが普及したせいで、国際相場も熟知しているので、値段も、やすやすとは下げません。これは、他の国の宝石市場では見られない現象です。30年ほど前、タイで知り合った大阪の買い付け業者のおじさんに、「なぜ、ベトナムには、行かないんですか?」と尋ねてみたら、そのおじさんは、「いや、行った事もあるけどな・・・、ベトナムは、うっとうしいねん・・・。値段交渉の時、訳分からん女が間に入ってきて掻き混ぜよるからなあ・・・・・(大阪弁)」と言っていました。当時は、あまりピンとこなかったのですが、実際に来てみて、よく分かりました。確かに、買い手側からすると、めちゃくちゃうっとうしいです・・・(笑)。
 最後に、第四の難点として、取引相手としての、信頼性の無さが挙げられます。周知のごとく、ベトナム人は、ベトナムルビーの原石に、ベルヌイ法の合成ルビーを混ぜ込んで販売した事から、宝石の国際市場から排斥され、今に至っております。ベトナム人は、真面目で、気持ちが強く、頭も良いのですが、残念な事に、その賢い頭を悪事にも使ってしまうのです。某は、ベトナムで半月ほど滞在していましたが、食堂でも、バイクタクシーでも、ホテルでも、合わせると、大体、一日平均で4~5回ぐらい、だまされます(苦笑)。10日間なら、40~50回です(驚)。
 さて、今回、皆様にご紹介する商品ですが、「ミルク色の夜明け~、見えてくるまっすぐな~道、忘れ~ないよ~、この道を、マサラッシュと歩いた~、空に続く~道を~。ラ、ラ、ラ~、ラ、ラ、ラ~、ズィングン、ズィングン・・・・・(昭和生まれの人しかわからないかな?この歌詞は・・・・・。ヒントは、アロア)」の景色を宝石にしたんじゃないかと思える、非常に変わったサファイアです。某は、他の産地で見かけた事がありません。ムゾー産エメラルド、バターリャ産パライバ、旧モゴク産ルビーもそうですが、美しい宝石は、母岩が白いです。この、ベトナム産サファイアも、非玄武岩系の白い母岩から生まれて参ります。だから美しいのです。
 ベトナムのイエンザ(ルクエン)産のサファイアが、全て美しいわけではありません。ごくごく少数です。100個の中の一番になるようなルースしか買い付けておりません。だから、美しいのです。大部分のベトナム産サファイアは、特徴的なベルベット風のシルク状の内包物が無くて、安っぽい感じだったり、たとえシルク状の内包物があっても、汚くて大きな茶色・黒色の内包物があったり、カット・形状・サイズに難点があったりするものばかりです。(審美系)色石コレクターの某が、コレクター目線に立ったうえで、選びに選んだピースです。そして、なんと、珍しい「マーキス」の形状でございます。サイズは、「5.73x3.93x2.50㎜」で、白紫から、パパラチアオレンジ、そして、コクのあるピンクに徐々に移り変わっていく「たぐい稀なグラディエーション」は、ご覧になった方のお心に平穏と安らぎを与えてくれることでしょう。
 実は、このルースをカットしたベトナム人女性を知っているのですが、この人は将来有望です。カットを始めてまだ2か月らしいですが、向上心のみならず、美的センスと言うか、芸術的センスがあるように思います。彼女からは、このルースのみを買ったのですが、某に、「この石のカットはどうか?この石のカットはどうか?」と、熱心に聞いていました。自分で道具をそろえて、ネットで「やり方」や「角度」などを調べながら頑張っているそうです。この商品のカットは上手に出来ていますが、他の多くは難があったので、いろいろとアドバイスを与えてあげました次第です。本人も分かっているように、欲望の呪縛から解き放たれる事が出来るかどうかが、この人の運命を左右します(笑)。

 


(2025年 3月 30日 22時 21分 追加)
中間あたりに、パパラチア色の光彩が激しく出てくるのですが、それを画像で表現できなかったのが残念です。一枚目の写真の中間部のパパラチア色が、もっと激しくギラギラすると思って下さい。それにしても可愛いでしょ・・・・・?なんか、京菓子にありそう・・・・・(笑)。