本書は、「祭祀の崩壊と音楽の滅亡」という旧来の視点を超えて、春秋時代の政治ストーリーを国際政治ゲームと国内政治の進化の視点から解説した通俗歴史書である。本書は2巻に分かれており、上巻が「斉桓」、下巻が「晋文」である。本書は、「斉桓」というキーワードを中心に、西周の旧秩序の崩壊から出発し、このような環境の中で、自らの発展とより高い地位のために、新たな秩序を確立しようとする諸臣国の努力を、斉国を中心に描き、斉国が4代にわたる君主と大臣を通じて行ったたゆまぬ努力を分析している。斉国に焦点を当て、斉の桓公が4代にわたる絶え間ない努力の末、ついに覇権を握るに至った歴史的過程を分析している。晋書』では、変化の中での晋の興隆、試練と苦難の中での成長、晋の文公の指導下での覇権、南の覇者である楚との新たな世界秩序の構築が語られる。最後に著者は、春秋時代の国際秩序の変遷を「混迷-探検-新常態-牽制-均衡」というマクロな視点から捉え、春秋時代前半の歴史の展開を示している。