○マクシミアンノ・コブラ  モーツァルト  「レクイエム」


このコブラ、知る人ぞ知る指揮者で、本当に実在する指揮者なのかも ?(疑問)であったが、ブラジル系フランス人の音楽学者との記載をみた。いずれにせよ コブラが指揮する演奏は同時に出品したワグナーもモーツァルトもこのブラームスも皆、 そのテンポが特質に値するが、これも学者ゆえの結論なのかもしれない。
このレクイエムでは 82分ほど。
個人的には ベートーヴェンの交響曲は第5第9を聞いてみた限りでは、なかなかの説得力があった。

モーツァルト  レクイエム
Ingrid Kertesi, Soprano
Bernadette Wiedemann, Alto 
Jozsf Mukk, Tenor 
Istvn Rcz, Bass

EUROPA PHILHARMONIA BUDAPEST 
ORCHESTRA & CHOIR 

MAXIMIANNO COBRA, Conductor

イングリッド・ケルテージ(S) ベルナデッテ・ウィーデマン(A)
 ヨーゼフ・ムック(T) イシュトヴァーン・ラーツ(B)
 マクシミアンノ・コブラ指揮ヨーロッパ・フィルハーモニア・ブダペストo.&cho.



Disc 1 : 
44.1 kHz - 16 bit / 2.0 STEREO 

Disc 2 : 
44.1 kHz - 16 bit / 2.0 STEREO 

CD_DTS Bonus 

Disc 3 : 
DTS 5.1

Disc 4 : 
DTS 5.1





許光俊の言いたい放題 第3回 『謎の指揮者コブラ』
 一部でゲテモノと取りざたされているコブラを初めて聴いた。曲はモーツァルトの「レクイエム」。なんと82分もかかるという超ノロノロ演奏で、CD2枚組なのである。 最初のうちは、遅いと言っても、まだ理解の範囲内。各声部の動きがよく聞こえてきて嬉しい。
 だが、「怒りの日」が始って、腰を抜かした。普通の倍ではないか。一瞬まったく違う曲が始まったと思ったほどだ。「ラクリモーサ」も止まりそうだし、恐ろしいほど気が抜けていて衝撃的。特に最後の「アーメン」は情けなくなるほどだ。
 「遅いだけ」「表情が死んでいる」という意見も聞いていた。確かに、はっきり言って、大した指揮者ではないと思う。せっかくいろんな音が聞こえてくるのに、それぞれが明快に位置づけられていない。歌詞の意味への配慮もない。思い入れがあるわけでもない。バス声部がもうちょっとキリッとしていたらなあとも思う。遅いだけ、と言われれば、否定はしがたい脱力演奏だ。
 しかし、ここまで遅いと、至らぬ部分を自分の脳の中で補いながら聴けるのだ。この速度、妙に想像力や思考を促すのである。異化効果というやつがあるのである。その点において、聴き手を選ぶ熟練者向け演奏と言えるだろう。波長が合う人にとっては、たまらなく刺激的なはずだ。
 どうしてこんなテンポになったかは金子建志氏あたりに解説願うとして、とりあえず私はこの怪しい音楽がとても気に入った。さっそく第9も買わなくては。フィナーレが40分以上かかるというから、今から楽しみ。