広瀬栄一コレクション拓本4-82-2●昭和53年 平城宮 鬼面文鬼瓦等拓本 8枚 保護新聞付 奈良県 240503
鬼瓦は屋根の大棟や降棟(くだりむね)、隅棟の端を飾る板状の瓦。出現期である七世紀には幾何学文や蓮華文が表されていたが、奈良時代以降には平城宮や南都七大寺をはじめ各地で鬼面文が採用されるようになった。鬼を表すことで、災いを追い払う「辟邪(へきじゃ)」の意を込めたのであろう。本品は、奈良県と京都府の境に広がる平城山丘陵(ならやまきゅうりょう)に築かれた奈良山瓦窯群(ならやまがようぐん)の一つ、中山瓦窯の出土品と推定される。中山瓦窯は平城宮の諸建物に瓦を供給した官窯(かんよう)として知られ、本品と同文様の鬼瓦は、平城宮において八世紀前半の建物に用いられたことが判明している。出典:奈良国立博物館