78862-197【Candame】絶品Diamond 18K Ring SPAIN サイズ8 重さ7.6g 縦幅10.6mm




魂の衣、ガリシアの波濤に寄せて

器は料理の着物である、とはかの魯山人の言だが、然らば、優れた指輪とは魂の衣(ころも)に他なるまい。今、我々の眼前に横たわるこの一指の環。これこそ、その至言を雄弁に物語る、稀代の作である。
この環を生み出したのは、スペインの北西、霧深きガリシアの地に根を張る「カンデーム」という工房だ。その作り手の名は、おそらく歴史の表舞台に刻まれることはないだろう。だが、それでよい。真の職人とは、己の名ではなく、己の魂を作品に刻み込むものだからだ。この指輪を見よ。そこには、名声への執着などという矮小なものではなく、素材と対話し、美の本質を追い求めた、孤高の精神が静かに息づいている。
中央に鎮座する、一粒の金剛石。それは、あたかも北極星のごとく、持ち主の揺るぎない自己を象徴する。その輝きは、決して他を威圧するような傲慢な光ではない。内なる宇宙から静かに湧き出る、理知と品格の光である。周囲を巡る十六の小粒なる金剛石は、主星に付き従う衛星か、あるいは賢王に仕える十六人の賢人か。中心の魂を護り、その輝きを増幅させ、一つの完璧なる調和、小宇宙を形成している。
だが、この指輪の真骨頂は、その腕(アーム)の造形にある。幾重にもうねり、隆起する黄金の曲線。これは、工房が面する大西洋の、荒々しくも美しい波濤を写し取ったものに相違ない。ある時は穏やかに、ある時は激しく岸壁を打つ波のリズム。人生そのものの縮図ではないか。平坦なだけの人生などありはしない。乗り越えるべき荒波、苦難の先にこそ、真の輝きがある。この指輪の作り手は、その人生の真理を、溶解した黄金に流し込み、永遠の形として封じ込めたのだ。指を通せば、その滑らかで力強い起伏が、持ち主の魂をそっと鼓舞するであろう。
スペインという土地が育んだ、情熱と洗練。太陽の光と、深い海の青。相反する要素が見事に溶け合ったこの国の美意識が、この小さな環には凝縮されている。古来より受け継がれた大胆な造形美と、現代的なミニマリズムが、ここで奇跡的な邂逅を果たした。
この魂の衣を、単に金や石の目方で語るのは、あまりにも野暮というもの。我々がここに提示するのは、ガリシアの潮風と、一人の職人の哲学が結晶した、一つの物語である。
この環が、あなたの指に収まるべき運命にあるならば、それは理屈を超えた魂の共鳴に他ならない。さあ、このガリシアの波濤から生まれ落ちた魂の衣を、その手で感じてみてはいかがだろうか。新たな物語は、そこから始まる。