ART PEPPER SONNY REDD     アート・ペッパー ソニー・レッド  TWO ALTOS 国内盤


内容的には1950年代前半の演奏が4曲(いずれもスタンダード曲)、1957年の演奏が2曲
(いずれもオリジナル曲)という構成で、1.、3.、5.、6.がアート・ペッパー、2.と4.がソニー・レッド
の吹き込み。6曲(総時間にして30分ちょっと)で、4種類の異なるメンバーでの吹き込みという
ことだから、事実関係だけからすれば、確かにバラバラの寄せ集めではある。

 でも通して聴いた時には、癖がなく聴きやすい。それは何も特徴がないと言っているわけではなく、
他のセッションと組み合わされてもちぐはぐにならなさそうな演奏が並んでいると表現してもよいか
もしれない。以下、セッションごとに概要をざっと見渡してみたい。

 いちばん音源として古いのが5.で、1952年3月のアート・ペッパーの初リーダーセッションの吹き込み
『サーフ・ライド』の残り物の音源ということだが、同盤所収の3曲にこの曲を加えた4曲がその時の
吹き込みとのこと。ピアノのハンプトン・ホーズにドラムのラリー・バンカーという面々はこの直前に
クラブ出演もしていたとのことなので、演奏にこなれている部分があるように思う。

 次に3.も上記と同様にアート・ペッパーのワンホーンで、上記『サーフ・ライド』の冒頭3曲と同じとき
のセッション。上の5.にせよ、この3.にせよ、しっとりした部分があるために(疾走感のあるアルバムの
イメージにそぐわなかった?)、上記の盤から外されてしまたのではないかという気がするが、
本盤でじっくり安らぎながら聴くには、決して悪い演奏ではない。

 冒頭の1.および末尾の6.は、アルトにアート・ペッパー、テナーにジャック・モンテローズという
二管での演奏で、同じく『サーフ・ライド』に収録されたセッションの残りから収録されたもの。
モンテローズはこの2年ほど後に初リーダー作をブルーノートに吹き込むことになるが、彼独特
の節回しはまだそんなに強烈には発揮されていない印象。何よりも1.のアート・ペッパーのアルト
の舞い方が、筆者は個人的にお気に入り。

 そして最後に2.と4.がソニー・レッドの初リーダー・セッションの音源。いずれもバリトン・サックスで
ペッパー・アダムスが参加している。リズム隊はウィントン・ケリーはじめ定評のある3人で、安定感
は抜群。水を得た魚の如く生き生きした演奏が気持ちよい。なお、この初リーダー・セッションは
3曲吹き込まれたそうだが、もう1曲は別のアルバム(オムニバス盤『Jazz is Busting Out All Over』)
に収められているとのこと(いつか機会があれば、こちらの盤も聴いてみたいと思いつつまだ実現していないけれど)。

1. Deep Purple



2. Watkins Production



3. Everything Happpens To Me



4. Redd's Head



5. These Foolish Things



6. What's New