・光学系は後玉表面に直線状の細い拭き擦れが1本見られますが、カビ、くもり、バルサム切れは見られません。
・レンズ全体の透明度は良好です。
・外観は黒色塗装のはげが所々に見られますが比較的きれいな部類だと感じます。
・文字やマークの色はくっきりしていて見やすい状態です。詳細は前述のリンク先にある高解像度画像でご確認ください。
【可動部の状態】
・距離環は全周にわたって一定の手応えでスムーズに回転します。逆転時の遊びはなくピント合わせを正確にできます。ヘリコイドにラップ研磨処理を行ったため、回転時に指先にざらつきや擦れなどの違和感が伝わってくることはありません。
・絞り羽根に油の付着はなくきれいです。
・絞り羽根の動作はNikon Fボディに取り付けて確認しましたが,シャッターに連動して迅速に開閉しました。
・絞り環はクリック感が良くスムーズに回転します。
・距離環と絞り環の操作感は多くの方に良好だと感じていただける状態に整備できていると思います。
【このレンズの特徴等】
・絞り開放時には被写体の前後を大きくぼかした写真が撮影できます。
・最短撮影距離は0.6mです。
【分解整備の内容】
・フォーカスリングのヘリコイドに使用されていた古く汚れたグリスを除去し、ヘリコイドの溝の中までラップ研磨と呼ばれる方法で磨き上げ,溝の奥にたまった細かな汚れを取り除くとともに表面をより平滑にしました。その後,粘度が適した新しいグリスを隙間なく充填しました。
・内部のレンズ面に付着していたチリなどを可能な限り清掃しきれいな状態にしました。商品写真中のレンズ背後からライトで照らした画像をご確認ください。
・水洗可能な部品は分解時に洗剤による洗浄を行い汚れや不要な古い油分を取り除きました。その後、ラップ研磨済みのヘリコイド鏡筒も含め、超音波洗浄機で処理しました。
・絞り関連の部品はクリーニンおよび整備を行いました。
・文字の色が退色していましたのでオリジナルの近似色に調整した油性塗料で補修しました。これらの塗料は水濡れには耐え、文字の刻印の中に入れてありますので簡単には落ちませんが、念のためレンズ外装部のクリーニングを行う場合は、エタノール等の溶剤は使用せずに乾いた布か水で湿らした布を使用してください。
・最近はフィルムカメラの需要が増えていることがニュースでも取り上げられていました。私の無限遠確認はすべてそのレンズを使用する前提で製造されたフィルムカメラに装着して正確に行っています。出品中のレンズはNikon Fボディに取り付けて距離環を無限遠側いっぱいに回した位置で無限遠が出ていることを確認しています。マウントアダプターを介してミラーレス一眼で使用した場合は多くの場合わずかにオーバーインフ(無限遠マークのわずかに手前で無限遠にピントが合う状態)になり無限遠にはピントが合わせることができるようになっているはずです。
・無限遠調整自作の高倍率マグニファイアを装着して確認しています。
※ミラーレス一眼にマウントアダプターを介して取り付けた場合は、そのマウントアダプターの設計や工作精度によって無限遠位置が異なります。多くの場合はオーバーインフになることを確認しています。これは、マウントアダプターを使用した際に確実に無限遠が出せるように余裕を持たせてた設計にしているためだと思います。オーバーインフ気味になるマウントアダプターに取り付けたときに無限遠がぴったり合っていた場合は、そのレンズを本来のフィルムカメラに取り付けた時には多くの場合無限遠にピントが合わないことになります。