シベリウス 交響曲全集、管弦楽曲集 ベルグルンド&ボーンマス交響楽団(4CD)
シベリウス:交響曲全集
ベルグルンド&ボーンマス交響楽団
1972~78年ステレオ録音。シベリウスを得意としたフィンランドの名指揮者、パーヴォ・ベルグルンド[1929-2012]が40代の頃にEMIへセッション・レコーディングした第1回目の全集。
ベルグルンドはこの後、ヘルシンキ・フィルを指揮してEMIに2度目の全集を録音し、さらにヨーロッパ室内管弦楽団を指揮してワーナーに3度目の全集も録音していたほか、ロンドン・フィルとのライヴ録音が発売されたり、得意の4番(DECCA、FINLANDIA)と、6番(BERLIN CLASSICS)には別録音もあったり、その他、協奏曲や管弦楽曲の録音もかなりの数にのぼりますから、名実ともにシベリウス最多録音記録保持者として、シベリウス・ファンにはまさに表彰状ものの指揮者です。ベルグルンドはまた、シベリウス研究者としても著名な存在で、自らの校訂譜による、細密なアプローチには以前から定評があります。
このボーンマス交響楽団との全集は、同オケ首席指揮者就任の年から録音が開始されたもので、独特のソノリティと、ときに白熱する音楽の魅力はこのときの全集ならではのものと言えると思います。
【プロフィール】
左手に指揮棒を持つことでも有名なパーヴォ・アラン・エンゲルベルク・ベルグルンドは1929年4月14日、ヘルシンキ生まれのフィンランドの指揮者。11歳よりヴァイオリンを学び、シベリウス・アカデミーではヴァイオリンに加えて指揮法も習得、1949年、フィンランド放送交響楽団のヴァイオリニストとしてプロのキャリアをスタートしています。
同団在籍中の1952年には、ヘルシンキ室内管弦楽団を有志と結成して指揮を執るなど、当初から指揮者志望だったことは間違いないようで、1956年には、フィンランド放送響の副指揮者となり、1962年にはめでたく首席指揮者に就任し、1971年まで十年間その任にあたります。
1972年から1979年まではイギリスのボーンマス交響楽団の首席指揮者に在任し、最初のシベリウス交響曲全集やショスタコーヴィチの交響曲録音などを手がけます。
その後、1975年から1981年には母国ヘルシンキ・フィルの音楽監督兼首席指揮者を務め、二度目のシベリウス交響曲全集などを録音していますが、1981年からは再びイギリスに戻ってスコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席客演指揮者に就任。
1987年から1991年にはスウェーデンに渡り、ロイヤル・ストックホルム・フィルの首席指揮者を務め、1993年から1998年まではデンマーク王立管弦楽団の首席指揮者を務め、以後、フリーランスで活動、数年前まで現役で活動していましたが、2012年1月25日、ヘルシンキの自宅で亡くなっています。
ベルグルンドは広大なレパートリーの持ち主ではありましたが、シベリウスのスペシャリストとして最も有名で、交響曲の楽譜校訂までおこなうほどの研究の徹底ぶりと細密なアプローチでも知られていました。
その実績を録音で見ると、シベリウスでは3度に及ぶ交響曲全集のレコーディングが際立っているほか、幻の作品だった『クレルヴォ交響曲』の紹介者としてもその名前は広く知られています。 ちなみに、EMIへの2度の全集とFINLANDIAへの全集のほかに、得意の第4番と、第6番には別録音もあり、その他、協奏曲や管弦楽曲の録音もかなりの数にのぼりますから、名実ともにシベリウス最多録音記録保持者としてもその存在感には揺るぎないものがあります。
【収録情報】
シベリウス: Disc1
・交響曲第1番ホ短調 op.39(1974年)
・交響曲第4番イ短調 op.63(1975年)
Disc2
・交響曲第2番ニ長調 op.43(1976年)
・交響曲第3番ハ長調 op.52(1977年)
Disc3
・交響曲第5番変ホ長調 op.82(1973年)
・交響曲第6番ニ短調 op.104(1973年)
・『カレリア』組曲 op.11~I.インテルメッツォ(1972年)
・『カレリア』組曲 op.11~III. 行進曲風に(1972年)
・『悲しみのワルツ』op.44-1(1972年)
Disc4
・交響曲第7番ハ長調 op.105(1972年)
・交響詩『フィンランディア』 op.26(1972年)
・交響詩『トゥオネラの白鳥』 op.22-2(1972年)
・『クリスティアンII世』op.27~I.ノクターン(1978年)
・『クリスティアンII世』op.27~II. エレジー(1978年)
・交響詩『吟遊詩人』 op.64(1976年)
・交響詩『タピオラ』op.112(1972年)
ボーンマス交響楽団
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)