スタックスの主力モデルである Λ(ラムダ)型は、同社のアイコンともいえる
特異なフォルムを持った製品で、最も知名度が高く モデル数も多岐にわたります。
一度は倒産し、異彩を放つ ”静電型 イヤースピーカー” の命運が尽きてしまうところでしたが
同社の有志たちが結集し、新たに立ち上げた ”新生 スタックス” が
創設3年目に満を持して、Λ型のフルモデルチェンジを敢行したときの製品で
Signature(SR-404) / Classic(SR-303) / Basic(SR-202) と3機種のラインナップでした。
当出品物は 3兄弟の長男坊で、当時の最上級機にあたる機種になります。
以降 10年以上も販売し続けられた 超ロングセラー商品でした。
倒産に見舞われ、苦境の中 再スタートした 「有限会社 スタックス」でしたが
背景にある歴史やその実力を高く評価していた、全国の著名な販売店が軒並みバックアップ/サポートを宣言し
特殊な部類に属する 静電型 ヘッドフォン へのアピールを顧客に訴え続けることにより
徐々にではありますが、次第に存在感が知れ渡ることとなります。
そのことが功を奏しSTAXは時間は掛かりましたが、健全な経営状態を保てることとなりました。
心臓部である 発音体/振動膜の、更なる薄膜化に挑み、新境地を切り開こうとした意欲作で
このモデル以降、要の”膜”の材質やユニットそのものが、高剛性化されていくことになります。
きしめん的な出力ケーブルも、さらなる低容量の幅広タイプが採用されていて
出力ケーブルは、現在では絶版となった 貴重な PC-OCC (単結晶状高純度無酸素銅)
この導体は採算が取れないことから、惜しまれながらも製造停止になってしまった銅材で
千葉工業大学教授である 大野篤美氏が考案した Ohno Continuous Cast = OCC製法
(加熱鋳型式連続鋳造法)で造られた 単結晶 無酸素 高純度銅線のことで
古河が「PC-OCC」と商標登録していた関係上、同社が製造したOCC導体が PC-OCCと名乗れるわけです。
この製法で造られた導体は、結晶境界が理論上ゼロという 信号伝達を妨げる要素がない材質で
その奏でる音質が多くのファンを虜にし、サエク/アコリバ/オヤイデ/クリプトン/ハーモニックスなどなど
数々のケーブルメーカーが主力商品に挙って採用していた、たいへん有名な電材でございました。
我が国では 生産国であったが故に、ありふれた印象を持たれるかもしれませんが
海外では、すごぶる高い評価を確立している導体になります。