井上良斎 釉下彩浮彫青磁花瓶 東京焼 隅田焼 横浜焼
二代井上良斎の釉下彩浮彫青磁花瓶を出品致します。
二代井上良斎は、元々は瀬戸の二代目川本治兵衛の子供であり、1866年に三代目川本治兵衛を襲名しています。その後、東京浅草の初代井上良斎の女婿となり、二代井上良斎を襲名しました。
本作では、初代良斎から習得した隅田焼特有の高浮彫りの技法で愛らしい雀を配していますが、雀の腹部には釉薬が厚塗りされているらしく、下の文様が浮き出ています。本作は、仔細に観察すると極めて手の込んだ作品であることがわかります。先ず素地は陶土のようですが、白い花の部分にはstonewareの土が使われているようです。当然それぞれの膨張係数は異なりますから、白い花弁部分には焼成時の窯傷が見られます。また、緑色の葉の部分は釉下彩で描かれています。その他の部分は上絵で描かれていますが、丁寧に金彩で模様書きがされています。首から口縁部は磁器のように白くなっていますが、京焼のように白化粧されているようです。全体的には薄い製磁釉が施されており、非常に特殊な仕上がりになっています。多くの井上良斎の作品を見てきましたが、このような作風はこれ以外に見たことがありません。
二代井上良斎は、パリ万博に出品参加した後、フランスの国立セーブル製陶研究所に数年残って、最新の製陶技術を学びました。しかし、帰国直後に病に倒れてしまい、惜しくも60歳の若さで亡くなってしまいました。日本窯業史における知られざる巨匠と言えます。
高さは、24cmです。
ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵はありません。口縁部に金彩の擦れはありますが、未使用に近い保存状態です。
尚、私の説明文と写真をそっくりそのまま盗用して、格安で販売しますという詐欺サイトが散見されます。呉々もご注意下さい。私がその様な詐欺サイトに並行出品していると勘違いされた方から、聞くに耐えない酷い罵詈雑言を浴びせられたことがありますが、私はオークションサイト以外には出品しておりません。